本事例は、2026年4月21日に取得した市街化区域内の農地について、隣接する赤道(法定外公共物)と、その赤道を挟んだ先の土地を一体的に利用するための取組です。
当初取得地は、道路に接する間口が十分にある一方で奥行きが短く、隣接する赤道の用途廃止・払下げを受けて敷地に組み入れることを、取得当初から事業計画の前提としていました。
当初取得地の課題と取得判断については、「傾斜地にある市街化区域内農地の取得と宅地化計画」で紹介しています。
赤道の用途廃止・払下げに向けた行政協議
赤道は、登記上の私有地とは異なり、任意に売買できる土地ではありません。
一体利用するためには、行政との協議を行い、公共用財産としての用途を廃止したうえで、払下げを受ける必要があります。
本案件では、赤道の現況、利用状況、代替機能の有無、周辺土地への影響などを整理し、関係行政機関との協議を進めました。
その結果、用途廃止・払下げに向けて手続を進められる見込みが立ちました。
土地所有者2名との協議
赤道の用途廃止・払下げには、周辺土地所有者との調整も必要となります。
このため、赤道を挟んだ先の土地所有者2名と、必要な同意の取得に向けた話し合いを行いました。
その過程で、赤道を挟んだ先の土地についても、それぞれを単独で利用する場合には課題があることが分かりました。
そこで、同意の取得だけを目的とするのではなく、それらの土地も当事務所が取得し、当初取得地、赤道及び追加取得地を一体的に開発する方法を検討しました。
一括取得を判断した理由
各土地を個別に利用する場合と、複数の土地を一体的に利用する場合について、敷地形状、建物配置、通路、排水、造成及び区画計画を比較しました。
一体利用することで、主に次の点を改善できると判断しました。
- 敷地全体の奥行きを確保できる
- 建物や区画の配置を柔軟に計画できる
- 道路及び通路の配置を合理化できる
- 排水及び上下水道の計画を一体的に検討できる
- 擁壁や造成工事を土地全体で計画できる
- 個別利用では生じる土地形状上の課題を軽減できる
これらを踏まえ、赤道を挟んだ先の土地を一括して取得することが、土地所有者と当事務所の双方にとって合理的であると判断しました。
2026年7月30日の土地取得
土地所有者2名との協議を経て、2026年7月30日、赤道を挟んだ先の土地を取得しました。
今回の取得により、当初取得地、赤道及び追加取得地を一体的に利用する事業計画を具体的に進めるための土地条件が整いました。
ただし、赤道については現時点で取得済みではなく、今後、用途廃止及び払下げの手続を進めます。
開発許可と盛土規制法への対応
一体利用後の開発区域は500㎡を超え、道路との高低差に対応するため、高さ2mを超える擁壁を設置する計画です。
このため、都市計画法に基づく開発許可申請に加え、令和7年4月に施行になった宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)上の規制対象規模、擁壁の構造、盛土・切土、排水施設及び工事中の安全管理について、関係行政機関との協議を進めます。
都市計画法の開発許可を受ける工事については、盛土規制法の許可を受けたものとみなされる場合があります。一方で、みなし許可となる場合でも、工事内容によっては標識の掲出、中間検査、定期報告などが必要となるため、開発許可の手続と一体的に確認します。
今後、主に次の事項を精査します。
- 赤道の用途廃止及び払下げ
- 開発許可に関する法令及び技術基準
- 盛土規制法上のみなし許可及び関連手続
- 高さ2mを超える擁壁の構造及び安全性
- 盛土・切土及び地盤の安定性
- 上下水道及び排水計画
- 工事費及び事業収支
- 宅地の区画及び販売計画
都市計画法の開発許可を受けた工事は盛土規制法上の「みなし許可」になり得ますが、関連する検査や報告まで全て免除されるわけではありません。そのため、今後も行政協議や現地条件を反映し、具体的な事業化を進めます。
本事例から分かること
土地の課題は、対象地だけを見ても解決できない場合があります。
隣接する道路、赤道、水路、周辺土地の形状及び所有関係まで確認することで、単独では利用しにくい土地でも、一体利用によって事業化の可能性が広がることがあります。
本案件では、赤道の払下げだけでなく、その先の土地所有者との協議を通じて、周辺土地を含めた一体利用という選択肢に発展しました。
当事務所では、法令、権利関係、インフラ、造成費及び事業性を一体的に整理し、土地の課題に応じた活用方法を検討しています。
※個別案件のため、所在地、取得価格、土地所有者その他の取引条件は非公開としています。